【映画】 スリーピング ビューティー 禁断の悦び の 感想 とか

2015-11-29映画スリーピングビューティー, 映画

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スリーピング ビューティー 禁断の悦び

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(前ブログより一部修正・加筆)

2011年 オーストラリア
原題:Sleeping Beauty
監督・脚本:ジュリア・リー
キャスト:エミリー・ブラウニング ほか
字幕翻訳:松市譲二


まずはネタバレ無しで。

エミリー・ブラウニング演じる女子大生が、ちょっとアブノーマルなエロ系のお仕事をするお話。
話がさっぱりわからないけど、雰囲気だけは、良い映画です。

川端康成の「眠れる美女」を原作としているようですが、その本は私自身存じ上げないので、それに絡めたコメントは控えさせていただきます。

大事なこと:エロ目的での鑑賞では不完全燃焼に。

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女性が裸体を披露し、それを前面に押し出していく映画というのは2種類あります。

1つは、性的欲求を全力で満たしにかかってくる、下品で下劣なAVに近いような映画。
もう1つは、純文学的・芸術的にエロスを用いた、お上品な方の映画。

この「スリーピング・ビューティー」はどちらかというと後者の映画にあたり、いやらしいエロさはありません。

主演女優のエミリー・ブラウニングさんもアンダーヘアまでオープンにする脱ぎっぷり。
しかし劇中にセックスシーンはありませんし、まるでお人形さんか何かを見せられているような、透明感溢れる映し方。

そりゃあ男性機能もまったく反応しないわけではないですが、「ええなぁエロいなぁ、ぐへへへ」なんて気分にはなれません。
むしろ、そういう意味では不完全燃焼に終わってしまうことが予想されます。

したがって、如何にもエロそうなタイトルだからといって、エロ目的で観ようとするのはオススメしません。
邦題の「禁断の悦び」なんてのは全然作品に合ってませんしね。

説明不足の極み

さて、そんなお上品なエロ映画であるこの映画が、エロスを用いてどんなことを描いたのか。
これがなかなかどうして、非常に伝わりにくい内容となっております。

まず、主人公になかなか感情移入ができません。
何かと説明不足過ぎて、感情移入する隙間がどこにも見当たらないのです。

何故、アブノーマルな風俗系のお仕事に精を出しているのか。
何故、プライベートの時間に会ったばかりのオッサンに悦んで股を開いているのか。
何故、ちょっと病み気味の男性(彼氏?)と一緒に居るのか、どういう関係なのか。
(しかもこの男性とはセックスしていない)

他にも、映像の中で繰り広げられている行為それぞれに何の意味や背景があるのか。

そういったことの説明が、映像からもセリフからもまったくと言っていいほど為されません。
そのため、「何なの、この子??」という感覚のまま、上映終了まで行ってしまいます。

「1から10まで全部明示しろ」とか、「何を言いたいのかさっぱりわからない、糞映画」と一言で済ませるような乱暴な感想は言いません。
けれど、あまりにも観客に解釈の材料を与え無さすぎではないかと。

作り手側の方が「1から10まで全部自分で推測して解釈しろ!」という姿勢なので、わけがわからなさ過ぎて居心地が悪くなってきます。

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一応、途中で出てくる3人の老人については、ちゃんとストーリーを感じ取ることが出来ます。

地位も金もある。
しかし老いてしまった今、どうしても欲しいものが手に入れられない。
そこで、それが手に入れられそうな所(主人公の居る風俗)へやってくる。

しかし、「老い」はここで老人たちにより直接的な形で現実を突きつけます。
それにより、老人たちは大きな喪失感を味わうことになるのです。

……ネタバレを控えているためにフワフワした書き方になりましたが、
この部分はちゃんと描きたいものが伝わってきて、作品として楽しむことが出来る部分だと思います。

「地位や金よりも大事なものがある!」というのではなくて、老いた男たちの悲哀をただ淡々と描いている、という感じ。

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居心地の悪さが魅力?

さて、説明不足に溢れたこの映画の魅力を挙げるとすれば、それは説明不足から生まれる「居心地の悪さ」そのものでしょうか。

お人形さんのようで、処女性すら感じさせるような、主人公の裸体が醸し出す抜群の透明感。
その主人公が一方で、いわゆる「ビッチ」的な性質を持っているという事実から生まれる違和感。
その他、説明不足により生まれる「わからない」の数々。

長回しと暗転等を駆使した不思議なリズム感の中で、それらの「居心地の悪さ」が、逆に心地よくなったりする場合もあるのかもしれません。

私はそういう気分にはなりませんでしたが、上手くアートな気分になれたならば、そういった感覚が味わえるような気がする作品でした。

ラストシーンなど、色々と唐突過ぎてわけがわからない上に、本来なら種明かしになるべき映像がさらに混乱を招くものとなっております。
なので、「なにこれわかんないよぉぉぉでもこのわからなさがぎもぢいいぃぃぃぃぃ」となるような、アーティスティックでちょっぴりMな方にはオススメ致します。

そうでない方には……まぁ話のネタにはなるかもしれません。
少なくとも、カップルでの鑑賞は断じてオススメいたしません。


感想は以上です。
下に、ラストの解釈等ネタバレ込みで記しておきますので、興味のある方はご覧ください。

ただし、「さっぱりわからなかった人間がひねり出した推測」に過ぎないので、たぶん間違っています。ハイ。


視聴環境
・DVD版、英語音声にて鑑賞。Dolby Digital 5.1ch
・TV:ソニー BRAVIA KDL-40V5
・AVアンプ:ヤマハ AX-V1065
・ヘッドフォン:beyerdynamic DT990pro


(Youtubeの予告編。
私自身は映画鑑賞前に予告編を見る事を推奨しておりませんが、気になる方はどうぞ。)


ラストの解釈?

さて、ネタバレ全開、というか、既にご鑑賞なさった方向けのお話です。

あのラストはいったい何なのでしょう。
未だにさっぱりわかりません。

わかりませんが、「わかりません」というだけでは無責任過ぎる気もするので、一応私の稚拙な解釈だけ。

主人公の大泣きの理由

主人公は何故、あんなにも泣き叫んだのでしょうか。
それも唐突に。

それはたぶん、あの時点では本人もよくわかっていないような気がします。
しかし、尋常ではない勢いで叩き起こされ、隣のご老体を触ると冷たくなっている。
わけがわからないけれど、自分が寝ている間にとんでもないことが起こった。
1人の人間が自分の隣で死んだ。

そういうことを、彼女は文章や言葉、理屈ではなくて本能的に察知した。
その時に、心の中で感情のエネルギーが爆発して、わけもわからないままに絶叫し、大暴れしてしまったのではないでしょうか。

たとえば子どもが泣く時には、この世の終わりであるかのように全力で泣き叫ぶことがあるでしょう?
あるいは、親しい人が亡くなったら、赤の他人が亡くなったのとは比べ物にならないぐらい大泣きするでしょう?

そういう時の人間というのは、理屈を抜きにして、感情から生じる爆発的なエネルギーをそういう形で出してしまっている。
それはもう、自分でコントロール出来るものではないし、「何故」と問われても、「何かよくわかんないけど大泣きが止まらない」としか言えない。

ラストシーンの大泣きも、同様ではないでしょうか。
「何であんなに泣いたの?」と問われても、「状況がね……受け止めきれなくてね、気づいたら絶叫してた」というぐらいの答えしかないということ。

クララが主人公を必死に起こそうとした理由

もうひとつ残る疑問は、上述の大泣きシーンにて、主人公の上司であるクララが主人公を必死に叩き起こそうとした理由について。

これは、クララが主人公が老人に薬でも飲まされて、一緒に無理心中させられたと勘違いしたからではないでしょうか。
普段なら朝には薬が切れていて、主人公の足をつまんでやれば起きるはずなのに起きないから。

最後のビデオ映像のシーンは……よくわかりません。
別に何も無かったですよ、と示すためだけかもしれませんし、もっと深い意味があるのかも。
単に私が見落としているだけか……

もし何かあればまたコメント等でご教示いただければ幸いです。