【ドラマ】『 無痛 〜診える眼〜 』感想~痛みとは何か?の話は何処へ行ったのか?

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評価

感想

人を見るだけで、その人の持つ病気の種類から進行度・治癒の可否まですべてわかってしまうという、不思議な能力を持った医師が主人公の、クライムサスペンス。

医療ドラマになりそうな超能力設定なのに刑事ドラマの様相を呈しているのは、作中でクローズアップされる犯因症というのが、殺人なんかやっちゃうほどの過剰な負のエネルギーが滲み出ている人を前にすると、主人公にはそれが1つの症状のように見える = 刑事事件の犯人探しに便利じゃん!って流れ。この時点で、どうしてそうなった?感あるね。中身面白ければ、いいんだけども。

序盤で解決した事件などは人情味もあって面白いと思ったものけど、未解決の一家惨殺事件に焦点が当たり出してからは、面白さが大幅にレベルダウンした。複数人の「怪しい奴」および彼らを抱える病院が舞台となって、話の幅がかなり狭くなる。各話のいわゆる”引き”の作り方は上手く、先が気になる作りにはなっているけど、そのわりに次回で話はそんなに進まないんだよな。

スローペースな何処にでもあるサスペンスをダラダラやるぐらいだったら、痛みにまつわる本作独自の要素にもっと向き合ってほしかったよ。人の症状が見える主人公が居て、病魔がもたらす痛みと戦う寝たきりの老人が居て、生まれながらにして痛みを感じない無痛症の青年が居る。この3人をベースに「痛みとは何か、何故人は痛みを感じ、それが必要であるか」が論じられ始めると、主題の「無痛」に沿った哲学的なテーマですごく面白そうだったのに、刑事ドラマやるばっかりでほとんど此処の本質に迫れていないの超アウトです。

一家惨殺事件の解決に追われるばかりで、最も興味深い「痛みについて」の議題をほったらかしにして、無痛症の青年なんてユニークなキャラクターなのに「実験するのに便利なんだよねー」ぐらいの扱いでしかない。そんな状況でずるずるやって、最終話でいきなり「痛みってのは云々!」と主人公に説教されても「なんであんたそう思ったの?」という、答えの基となる経験・材料が少なすぎて、説得力に欠けていたように思う。

とにかく刑事ドラマ要素が邪魔なので、やっぱり医療ドラマやればよかったよコレ。素直に。ちょっと残念な感じでした。

以上。
ほな、また。

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