無痛 〜診える眼〜
作品概要
2015年
キャスト:
西島秀俊
伊藤淳史
浅田美代子
伊藤英明
感想
医療ドラマではなく、刑事もの
人を見るだけで、その人の持つ病気の種類から進行度、治癒の可否まですべてわかってしまうという、不思議な能力を持った医師が主人公の、クライムサスペンス。
主人公が見える症状のなかでも特にクローズアップされるのは、犯因症という症状。
作中の前提として、殺人という行為は、それを行った人間が簡単に乗り越えられない壁である。
そして、それを乗り越えてしまうほどの過剰なエネルギーを持った人間は、その負のエネルギーが滲み出ていて、主人公にはそれが1つの症状のように見えるのだという。
1つの事件に焦点が当たり出してからは、面白さが落ちる
第1話で解決した事件などは人情味もあって、これは面白そうだと思ったものだ。
しかし、犯人不明のまま未解決となっている一家惨殺事件に焦点が当たり出してからは、面白さが大幅にレベルダウンする。
物語中盤以降は、複数人の「怪しい奴」および彼らを抱える病院が舞台となり、話の幅がかなり狭くなる。
各話のいわゆる”引き”の作り方は上手く、先が気になる作りにはなっているが、そのわりに次回で話はそんなに進まない。
痛みとは何か、何故必要か、にもっと迫ってほしかった
結局は好みの話だと言われればそれまでだが、私が見たかったのと大きく違ったというのが、鑑賞後の感想だった。
- 人の症状が見える主人公
- 病死を前に、突如犯因症を発症して主人公にしがみ付いた、主人公の妻。
- 病魔がもたらす痛みと戦う、寝たきりの老人。
- 生まれながらにして痛みを感じない無痛症の青年。
これだけの素材が揃っていながら、「痛みとは何か、何故人は痛みを感じ、それが必要であるか」についてほとんど迫れていない。
一家惨殺事件の解決に追われるばかりで、最も興味深い「痛みについて」の議題をほったらかしにしてしまったのだ。
無痛症の青年なんてユニークなキャラクターなのに「実験するのに便利なんだよねー」ぐらいの扱いでしかない。
そんな状況でずるずるやって、最終話でいきなり「痛みってのは云々!」と主人公に説教されても「なんであんたそう思ったの?」という、答えの基となる経験・材料が少なすぎて、説得力に欠けていたように思う。
緊張感はなくていいから、心身の痛みを抱える様々な人たちや痛みを感じない青年との関わりを通して「痛みとは何か」にもっと迫る物語が見たかった。
配役について
画像貼るのがめんどくさいのでガバーっとテキストでいく。申し訳ない。
主演の西島秀俊さんはMOZU等と比べると温かみのある緩めの役どころで、見ていて安心。
もう1人の主人公と言っていいポジションの熱血(過ぎて人を殺すレベルの)刑事に伊藤淳史さん。
キャラ設定がかなり危ないやつで、色々な意味で刑事失格。
こんな奴に銃をもたせてはいけない。
伊藤淳史さんは応援しているし、役自体も嫌いじゃないんだけど、ちょっと迫力に欠けるのでミスキャスト感がある。
主人公の義姉に浅田美代子さん。
「何でもいいからとにかく飯だけは食っとけ」的なお母さんポジション。
怪しい奴筆頭の無痛症の青年・イバラを演じたのは中村蒼さん。
感情見えない系男子は苦手なので、無表情かつ無感情な感じのキャラが個人的に苦手だった。
俳優さんのせいではないのだけど。
心的ショックで声が出せない女の子に浜辺美波さん。
悲しそうな目をする小動物系女子はこれまた苦手なのでアレ。
これも女優さんのせいではないのだけど。
主人公と同じく、人の症状が見える医師を演じる伊藤英明さん。
このドラマを観る直前に白い巨塔を観ていたので、超ヘタレな若者から突如成長したようで勝手に驚いていた。
中心人物じゃないはずなのに色々巻き込まれて、作中屈指のエラい目に逢いまくるカウンセラー役に石橋杏奈さん。
何があっても数時間後にはわりとケロッとしていて、実は一番メンタルがタフ。
面白そうだと思ったけど、ちょっと残念な感じでした。
ほな、また。
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