【ドラマ】『 白い巨塔 (2003) 』感想~極端で、融通の利かない人だらけ
評価
感想
今回の2003年版よりずっと前にもドラマ化されているけど、そちらは未見。ネタばれとか気にせず書きます。
主人公級の人たちにしても、その他大学関係者にしても、なんだか極端で融通の利かない人たちが多いの、ちょっとしんどいね。もう少し凝り固まらないで柔軟な人たちだったらよかったのに、とは思うけれど、誰も1歩立ち止まって柔軟に振る舞わないせいで、どんどん歯車が狂って話がおかしな方向へ向かってくのが醍醐味なんだろうね。
医学部内の政治を描いた第1部と、医療過誤をめぐる裁判の第2部からなる2部構成で展開されて、どっちも本当によくできてるんだけど、好き嫌いの話だけで言えば第2部の方が好みだね。
第1部は政治力と資金力で殴りあう教授選の場で、患者第一の姿勢で医療に従事する里見先生の存在が、やたらフォーカスあたるわりに誰も相手してなくて、ひたすらノイジーなだけで終わってるんだよな。教授選ガチマッチ組を雑に「悪」として扱うとしたら「善」をやるのが1人だけで、その善悪がちゃんと対立するのが第2部に入ってからなので、第1部のうちは感情移入しづらいんだよね。第2部に向けての種蒔きをやってるのは分かるんだけど、主題の教授選にのめり込まないと、ここは気分乗せるのが難しいかな。
第2部は、教授の座を手にしてますます増長してふんぞり返った財前先生が医療過誤ヤラカシてしまい、主戦場が病院内から裁判所へと移ってくんだけど、裁判の中で「善」のメンバーに増員が入って善悪のバランスがある程度とれてきて、わかりやすく、感情移入しやすい対立構造が生まれるんだよね。
このタイミングで登場する原告側弁護士の関口がいいよな。第1部は色々と極端な人間ばかりでツラかったんだけど、関口さんは曖昧さと柔軟さを持つ人間くさい部分が感じられて好感が持てるよ。ようやく真人間が出てきたという感じ。この人居なきゃ観てるこっちも多分心折れてた。
物語終盤、裁判の判決が出た時点で財前先生の肺ガンが発覚。もうそこからは亜音速のスピードで病状が悪くなり、財前が天へと旅立って物語が終わる。
「もっと上へ、もっと高い所へ」と突き進んできた財前先生が、突然訪れた死の宣告に対しどう臨むのか、というあたりが本当に少ししか描かれないので、ちょっと歯がゆいかな。ただ、いざそれを作ってみたらダレるというのもわかるので「ただ……無念だ」とシンプルに済ませる方がさっぱりしてて美しくて良いのかな。「お前に診てもらいたいんだ」と里見先生のところへ駆け込んだり、第1部からボコボコに殴り合った東先生と和解したりと、財前先生自身の変化については描かれていないわけではないし。
色々書いたけどトータルで見て全然ダレないし、捲かれた種は全部回収されてるし、本当によくできてる。他の俳優さんがやってるバージョンも観てみたいですね、いつかね。
以上。
ほな、また。
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