【映画】『 ハルク 』 感想〜ヒーローアクション映画からヒーローとアクションを除外した残り滓

2018-09-24映画ハルク, 映画

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ポスター

作品概要

2003年 アメリカ
原題:Hulk
監督・:アン・リー
キャスト:エリック・バナ
ジェニファー・コネリー
字幕翻訳:松市譲二

感想(ネタバレ無し)

「アベンジャーズ」との関連は無し

いわゆるアメコミヒーロー映画で、原作はマーベルコミックの「超人ハルク」だそうだ。
同作品を原作とする映画は他に「インクレディブル・ハルク」があり、そちらがマーベルヒーローのオールスターズ映画「アベンジャーズ」のシリーズ作品となっている。

一方、今回の「インクレディブルじゃない方のハルク」は、「インクレディブル・ハルク」および「アベンジャーズ」とはストーリー上何の繋がりもない。
「アベンジャーズ」の復習をするだけなら鑑賞の必要の無い作品であるし、叩きどころしか見当たらない映画なので鑑賞を積極的に薦めることはしない。

だらだらと長いだけの、薄味ストーリー

何も起こらない。起こっても、たいしたことは起こらない

この映画を観ようという人のほとんどは、超人ハルクが盛大に暴れまわるアクションムービーを期待するのだろう。
しかし蓋を開けてみると、アクションシーンなど終盤まではほとんどなく、あるのは登場人物たちのトークシーンばかり。

延々と主人公の葛藤やら自分探しやらに付き合わされ「いつ面白くなるの?」と思いながら耐え忍ぶ前半1時間。
「お、面白くなりそう?」と思うものの「面白くなりそう」な水準のまま、面白くならないで終わってしまう後半の各シーン。

よくこんな企画が通ったな、と思わずにはいられない、退屈な映画だった。

画像1
(↑これだけ見ると、すごそうな印象は受ける)

アクション以外の部分が特別丁寧なわけではない

某通販サイトや、某投稿型映画レビューサイトなどを見ると、「主人公の内面に重点が置かれてて良い」という内容の記述を見かける。

しかし個人的な感想としては、主人公の内面に重点が置かれているというよりも、ただそこに時間を割いているだけ。
丁寧に描いているのとは違うように思う。
用意されている設定の細かさやストーリーの奥深さなどは、他のヒーローアクション映画と同程度だ。

意志の無い主人公……やっぱりヒーローじゃない??

この映画はヒーローもののはずなのに「主人公が強烈な意志を何も持っていない」という致命的な欠点がある。

意志:用法
「意志」は「意志を貫く」「意志の強い人」「意志薄弱」など、何かをしよう、したいという気持ちを表す場合に用いられる。
goo辞書

ヒーローである以上、ヒーローとして人を守り、大きな負担を被るに足る強い意志が無ければならない。
ヒーローもののシリーズ1作目(リブート作品含む)において、ヒーローになるまでの前置きが長いのは、この意志を形作る時間を取っているからでもある。

しかし本作の主人公には、そういった強い意志がまったく見当たらない。
苦悩といっても、誰かや何かを守りたいというのではなく「しんどいなぁ、つらいなぁ」ぐらいで、自己の中で完結してしまう、または自己防衛の類の苦悩。
ヒロイン的な存在の人もずっと安全な場所に居るので、彼女を守るために、というお話でもない。
怒りの描写も「とりあえず怒らないと話進まないからキレとく」ぐらいの雑な描かれ方ばかりだし、結局のところ中盤の1シーンを除いてずっと自己防衛のためにしか戦っていない。
「ヒーロー」というより「心を持ったモンスター」ぐらいの雰囲気だ。
やっぱりこれヒーロー映画じゃなかったんだ。

映像面もチープさが目立つ

ストーリー面についてボロクソに記述したところで、映像面にもケチをつけよう。
10年以上前の映画ということもあり、映像面の酷評は少しかわいそうな気もするが、もののついでである。
(もはや八つ当たり)

2003年というと、映画に用いられるCGの技術も90年代に比べてグッと上がってきて、各作品で多種多様な試みがされていた時期だと記憶している。
ハルクの造形についても、動き自体は非常に滑らかではある。
しかし一方で、本作品のハルクは、造形の「粘土感」と動きの軽々しさがすごい。

動く緑色の粘土のカタマリが、戦車を投げ飛ばし、地面を叩き鳴らし、雄叫びをあげる。
サイズ自体は大きいはずなのに、良い重低音鳴ってるのに、イマイチ迫力が無い。
あと、言ったら可哀想だけど顔立ちもちょっと情けない。

画像2

ハルク以外の戦車やヘリコプター等の兵器に関しても、まったく重みが感じられない。
レゴか?というぐらい、ふわふわ浮いたりコロコロ転がったり。
遠い距離からの引き気味の画が多いことも相まって、迫ってくるような迫力を感じない。

ハルク自身もカエルのように軽々しく跳ぶので、人間の数倍もの巨体が飛んでいるとは思えない。
本作品の5年前に公開の「GODZILLA」に登場するゴジラベビーの方がよっぽど迫力があった。


何か恨みでもあるのかというぐらい、酷い書き方を長々としてしまった。
これより酷い映画などいくらでもあるのだが。

「ヒーローアクションだと思ったら違った」ぐらいではここまで酷評はしない。
しかし本作品は、アクションがほとんどなくヒーロー映画でもない上に、そこで失った魅力が他の部分によって何ら補完されていないというのがマズい。
悪い意味で期待を裏切られまくりである。

そういうわけで、ストーリー上の繋がりが一切無いということもあり、「アベンジャーズ」の復習がてらという目的があったとしても、鑑賞は薦めない。

以上。
ほな、また。