【映画】劇場版『 Gのレコンギスタ I 行け!コア・ファイター 』感想~画運びは軽快、キャラは朗らか。世界観の分からなさには耐えよう【レビュー】

映画

ReconguistainG
(引用元:http://g-reco.net/1st/)

評価:

感想

あんまり陰鬱な感じの無い、健康的なガンダム映画だった。過去のガンダムシリーズとの繋がりは隠し味程度なので、いきなり今作からガンダムに入っても差し支えは無いかと思う。

面白さの面では「可もなく不可もなし」といった印象。個人的には、面白い感じで完結までいったら呼んでねってレベルに落ち着いている。

全体的に勢力図や世界観が掴みづらいのと、単純に好みの問題として、ガンダムはもうちょっと重くて暗い感じのテイストが好きなので、いまいちノリについていけない感じ。

もう少しくわしく。

インターネットのあちこちから聞こえてくる「(TV版に比して)劇的に分かりやすい」みたいな前評判を聞いてから観ると、序盤から展開される固有名詞祭りと、勢力相関図のひとつも見えてこないやり取りに「これで分かりやすいって言ったのか…?」と戸惑ってしまう。

白状すると、私も鑑賞を終えた今でさえ、ぶっちゃけイマイチあんまりよく分かっていない。特に地球と宇宙を含めた勢力図や、Gレコ世界での科学技術と宗教のパワーバランスなんかは、鑑賞を終えた今でも何だかボヤッとしている。

うまく伝わるか分からないが無理矢理表現するとすれば、「警視庁の職員がイスラム国の人と接触してたら自衛隊が襲撃してきた」みたいな応酬が多い。そして、その実態を理解するのに必要な、日本とシリア・イランの国名や位置関係・国交といった基本要素が、劇中の描写や発言からスッポリ抜け落ちているイメージだ。古からおなじみの地球連邦とジオン公国ぐらいの粒度ならまだよいが、国名か組織名かも分からない用語がフル・カタカナの造語で国内の派閥違いなども含めて表現されるので、わりとつらい。

ザッと情報を集めなおしてみると、どうやら今作で実現された「わかりやすさ」というのは世界観のことではなく、キャラクターの発言意図や心情に対してのことであるようだ。どうにもTV版は、そのあたりがからっきし明確さに欠けるらしい。

ここで私が属しているはずの「TV版に触れていない人が、いきなり劇場版Gレコを観たらどう思うのか?」を語れる少数勢力としては、そういった人物描写の向上は評価のしようがない。特に不自由は無かったよ、と言うほかない。たしかに、時々モノローグ調でお気持ちがエコーがかって流れてきたり、1人で泣いてるシーンでもその理由を明確に言葉にしていたりと、受け手の読解力に期待を寄せていない感じはしていた。

基本的には主人公とヒロインのボーイ・ミーツ・ガールを主軸として、幼なじみポジション的な女の子が「あんた、あの子に惚れたんでしょぉぉーーー!!!」に「だーまーれー!!!!」と返しながら2人乗りして一緒に出かけていく健康的(?)な三角関係や、周囲を取り巻く責任ある大人も責任のカケラも感じてない少年少女たちも含めて、驚くほどハッキリものを言う。黙って怪訝な顔をしてみたり、思わせぶりにそっぽを向いたりといったアクションは少なく、コトバと表情と身振りの全部を使って自分の気持ちを表現していくので、その意味では巷で言われる通り分かりやすくはあった。

会話のテンポは良すぎるぐらいで、キャラクターがボソッと何か呟いたのへ観客が「え、いま何か言った?」と思っていたら、劇中の聞き手もロクに返事をしないままに話が進んでいく。(特に物語序盤でこの傾向が強いので、いきなり心が折れそうにはなった。歯を食いしばって耐えよう)

個々のキャラクターが絶叫に乗せて思いの丈をぶつけ合うのと対照的に、イマイチ透明度が上がってこない世界観や勢力図は「いちいち説明するのも野暮じゃん、追々感じてってよ」といった作りになっているように思う。快活なキャラクターが好き勝手言いながら話を転がしていくのを和やかな気持ちで観るうちに、世界の在り方もぼんやりと見えてくる作りになっていると考えて、耐えよう。

バトルシーンも迫力あるし、観てて楽しいアイディアも色々あって面白かった。サブタイトルに「行け!コア・ファイター」って書いてるから「えぇ…コア・ファイターが前面に出てていいの?」と不安になるけど、全然そんなの吹き飛ぶぐらい楽しいバトル満載だし、コア・ファイターに行けというのも別にウソではない。

ところでさっきバトルが「楽しい」って書いたけど、そんなキーワードと結びつけられるぐらいには、登場人物がみんな生死をかけたやりとりをしている感覚が希薄なように見えた。身体を破壊する戦死描写もなく、お子様にとっても安心設計といえそうだ。けれども、数少ない人死にに対して「コックピットに穴が空いたから死んだのだ」と認識させて終わりというのは、ちょっとヌルいかなと感じる。このあたりも意図してそういう描かれ方をしているように見えるので、事ある毎に鬱々としていがみ合って「戦争!殺し合い!憎しみ!!!」みたいなのから、たまには片足だけ洗ってみない?というスタンスなのだと思う。


なんだか、プリプリとお尻を振りながら不思議の国へ続く穴に駆けていく白いウサギを追いかけるような気持ちになる映画だ。ちなみに私が一番面白くて爆笑したのは下痢うんちのくだりだったので、私もまだまだ子どもだなぁと思った。良い意味でだよ。

あと、ハロみたいなマスコットロボのハロビーがいちいちカワイイ。蹴られて転がった時に「アァー…!!」とか言って、コロコロ転がってきて足に挟まったら「ギュッ」って言うの最高にkawaii。

(ちょうどいいの無かったのでツイートお借りします。すんません)

それから、アルケインっていう機体がかわいかったからガンプラ欲しいんだけど、まともな値段で売っちゃあいないし定価じゃ手に入らない。これだからガンプラは!!

以上。
ほな、また。

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