【映画】『 翔んで埼玉 』感想~関東全方位ディスを豪華キャストが全力で展開する~

映画

翔んで埼玉

tonde_saitama

評価

感想

豪華な俳優陣が、馬鹿馬鹿しい県民ネタに全力で勤しむ様子を面白いと思えるか否かが8割。関東方面の地理や文化・地域間のパワーバランスに対する理解度が残りの2割。この作品面白いと思えるかの分かれ道はこのへん。

傷ついたと自称する人たちによるクレームや炎上案件が溢れるこの時代に、ここまで多方面に暴言を吐きまくる作品が世に出て一定の評価を得たことは、前向きに捉えていいと思う。

関東の県民ネタをどう受け止めるか

全編にわたって関東全方位へのディスり1が展開されるので、関東民以外はネタの理解度の意味で不利だわ。外の人間には関東の地理とかパワーバランスわからへんもん。中盤のご当地小道具を用いたネタの応酬とかは、蚊帳の外に置かれたような気分になるのは仕方ないね。

とはいえ県民ネタは、血液型診断と併せて古来より国民に親しまれてきたジャンルだし、何処の地域でも都道府県間・市区町村間で似たような対立構造やマウントの取り合いはつきもの。関東ネタの細かい中身がわからなくても「ウチの地域だとアレとコレみたいなもんか」と観客の中でいくらでも置き換え可能だし、「ウチの地域でこの映画を作ったらどうなるだろう」と妄想が捗って面白い。

たとえば神戸でよくみられる阪急沿線から阪神沿線へのステイタスマウントと、両者に挟まれたJR沿線も巻き込む南北三つ巴戦争で、90分ぐらいやれないだろうか。
無理か。無理だな。

ちなみに、関東全方位ディスとは書いたけど、終わってみれば栃木・山梨あたりへのディスりはほとんど目立たない。遠くの世界でワイワイやってるのを眺める関西民より、すぐ近くの祭に寄せてもらえない同県民たちの方が、感じる疎外感は上かもしれない。その心情はお察ししたいところ。

俳優陣の頑張り~構造的にはガキ使「笑ってはいけない」と変わらない

いくら県民ネタが市民権を得ているといっても、これを繰り広げる俳優陣がショボくては、30分と鑑賞に堪えない。この課題はGACKTを筆頭として、TVや映画をほどほどに観ていれば誰でも知っている面々が大量に集められており、90分引っ張るのに十分な程度にはクリア出来ている。おかげで、スクリーンには最初から最後までギャラの高そうな新メンバーが続々と現れて豪華だ。

このあたり、本質的には年末特番でお馴染みの「ガキ使」「笑ってはいけないシリーズ」と同じ構造になっている。次に誰が何をやらかしてくれるのか、またその意外性とハジけっぷりに笑う。そういう映画。ネタを展開し続けるために薄い薄いプロットがある点も共通しているので、間違っても本作に物語の奥深さや高尚なメッセージ性などを求めてはいけない。


後片付け
1度観ればもう十分だけど、1度ぐらいは観ておいても損はしない。最終盤は色々蛇足感が半端じゃないけど、そこまでついていけたなら、細かいことはもう、どうでもよくなっているはず。

以上。
ほな、また。


  1. 「ディスる」は「無礼なことを言う、蔑む、軽んじる」といった意味の「ディスリスペクト」が転じて動詞化したもの。インターネットスラングの一種。 

コメント

タイトルとURLをコピーしました