【映画】『 イコライザー2 』感想~個人的な感情強めで動くイコライザーは是か非か

映画
イコライザー2

イコライザー2

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感想(ネタバレ無し)

評価:

地味ながらも丁寧に作りこんだ作品の続編は、作るのが難しい。
同じことの繰り返しでは代わり映えが無いと言われ、ド派手にスケールアップすれば前作の重厚な良さが無くなったと言われ。
取り扱うテーマは前作から一貫性を保ちながら、異なる場面・異なる敵・異なるアクションを用意せねばならない。
(ジェイソン・ステイサムの「メカニック:ワールドミッション」などは、1作目の真面目な雰囲気をかなぐり捨てて頭空っぽアクションに転化していて、ある意味潔かった)

幸いにも(幸か不幸か)このシリーズは1作目で主人公の来歴は秘密にしていたので、続編ではそこを思いっきり掘り下げることにしたようだが、それが功を奏したのかというと、かなりグレー気味だ。
善良な他者のために悪を討つ前作のイメージとは少々異なる運びとなっており、これを受容出来なければ「今回も面白かったなー、ちょっとモヤっとが残るけど」との印象を受ける。
それでも、相変わらずの仏頂面職人芸と無敵感、悪い奴は一網打尽でみんなハッピー!な最適解はなぞってくれるので、一定の面白さは保証されている。

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個人的な感情で動くイコライザー

主人公マッコールの、今作での生業はタクシードライバー。
日々多くの客を乗せるので他人の人生に触れる機会も多く、相変わらず色々と人助けをしていた。
前作でも登場した上司 兼 親友なおばさまに「人助けもいいけどさぁ、そんなこと続けてても心の大事なところが埋まるわけじゃないでしょ? 1回、昔から住んでた家に帰ったら?」とか言われつつ、序盤は前作から続く真っ当な人助けパートが続く。

しかし後半はかなり個人的な事情と感情で動くようになる。
相手を殺すだけなら不要に思える残虐なことをやってみたり、現代的なアサルトライフルをバカ撃ちしたりするような光景は、賛否が分かれるところだ。
こんな書き方は、往年のシリーズに巣くう古参ファンが「こんなのは〇〇じゃない!」って喚いてるみたいでかっこ悪いのは自覚しているが、それでも、ねぇ。

前作からしてequalizer(物事をイコールにする者)というほどニュートラルな姿勢の人ではなかったが、マッコールは他者のために動いてこそ、と思うお客様は、本作には少し苦い顔をしてしまうかもしれない。

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相変わらずの無敵感

日本版ポスターには「今度の敵は<イコライザー>」とでかでかと書かれているので、前作と違って超強敵が現れて大ピンチ!になるかと思えばそうでもない
これはポスターにそんなコメントを書いた日本の配給会社が悪い気がするので、作品の評価には影響しないポイントだ。

ちなみに、米国版ポスターには”There will be consequences”と書かれている。
「ただでは済まさない」「因果応報」といったところだろうか。

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前作同様に着地点が綺麗なサブクエスト

サブクエストとは、TVゲーム界隈の用語だ。メインストーリーとは関係がない(または、薄い)タスクを指す。

今回も前作から引き継ぐように、メインストーリーと同時多発的に人助けミッションがいくつか発生していて、それぞれ気持ちのいい着地をこなしている。
メインストーリー側との噛み合わせ・親和性があまり良くない気はするが、それでも話が散らかり過ぎない程度の挟み方で、全部上手く落とし込んでいるのはえらい。


ここでは厳しめなことも書いたが、本作ではこれまで謎に満ちていたマッコールの主人公像に厚みが出たのは確かなので、意外と前作よりこっちの方が好ましい人も居るかもしれない。

少し書き足りないところがあるので久々にネタバレ有りの感想セクションを下に用意した。
鑑賞済のお客様は下へスクロールください。





感想(ネタバレ有り)

マッコールは、原則として悪い奴らに2通りの選択肢を与える。
どちらにせよ痛い目に遭うし、片方は死が確定しちゃうのだが、本作終盤にて私怨で殺す対象に同原則を適用しない宣言をした場面は、なかなか気持ちよかった。
「1回しか殺せないのが残念だ」と言ったあと、最期の瞬間にこれでもかと斬りつけて多段ヒットさせるなど、なかなか昂ぶる要素を盛り込んでいらっしゃる。

マッコール側の描写は、嵐吹き荒れる戦場でも色々スマートでよく出来ている。
(平成が終わりを迎えようというご時世に、小麦粉の粉塵爆発なんてクラシカルなネタが観られるとは思わなかった)

対峙する悪役はもう少し強くして、駆け引きのレベルも上げていかないと、そろそろ張り合いが無くなってきている。
たとえば、敵のボスがクルマのトランクに押し込んだ人質を撃つ場面では、マッコールがクルマのタイヤを撃ってパンクを誘発。クルマの車体ごと的をずらして、人質の殺害を阻止した。
そこまでは良かったのだが、すべての位置関係は維持されたままで、タイヤはもうパンクしたのでマッコールは同じ手が使えないにもかかわらず、敵は人質へ次弾を撃ち込まず諦めてしまう。
終盤で唯一マッコールの弱点となるポイントだっただけに、展開が御都合主義的で惜しい。
そんなんだから、数年前にマッコールがしんだフリした後にCIA内で干されちゃったんじゃないかなって思う。

次作があるなら、映画「キラー・エリート」ばりに互いの体を痛めつけあいながら戦える強い敵を希望したい。

以上。
ほな、また。

イコライザー2 作品概要

2018年 アメリカ
監督:アントワーン・フークア
キャスト:
デンゼル・ワシントン
ペドロ・パスカル
メリッサ・レオ
字幕翻訳:風間綾平

コメント

  1. […] 【映画】『 イコライザー2 』感想~個人的な感情強めで動くイコライザーは是か非か […]

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