【映画】007 慰めの報酬 感想とか。

2015-11-30映画007, 慰めの報酬

Pocket

Untitled

2008年 イギリス・アメリカ
原題: 007 Quantum of Solace
監督:マーク・フォースター
キャスト:
ダニエル・クレイグ
オルガ・キュリレンコ
マチュー・アマルリック
ジュディ・デンチ
字幕翻訳:戸田奈津子


前作「カジノ・ロワイヤル」の直後から始まるストーリー

Untitled

前作の復習は必須

本作「007 慰めの報酬 」のストーリーは、ダニエル・クレイグ版ボンドの007第1作となった「カジノ・ロワイヤル(感想記事こちら)」のラストシーン直後から始まります。
中身は完全に「カジノ・ロワイヤル」から続くものとなっており、前作の復習をしないで鑑賞するとエラい目に遭います。

復讐心に突き動かされながら

前作で恋人を失ってしまったボンドが、関わった相手を片っ端から殺していく様はスパイの行いとは到底思えず、上司のMからも「いい加減にしろ」と言われっぱなし。
ですが、「96時間」のリーアム・ニーソンのように「殺してやる!!」という雰囲気ではなく、「あっ、夢中になってたら死んじゃった」というような様子で、復讐らしい暑苦しさはあまり感じません。

今回のボンドは前作のように「してやったり」という顔をすることは少なく、代わりに恋人を失った悲しみから感傷的になっているシーンが多く見受けられます。
全編を通して、前作からほんの数日後の話なのですから、無理もありませんね。

本作にはもう1人、復讐に駆られた人物が登場します。
それが今回のボンドガール的な扱いとなっているカミーユ。
オルガ・キュリレンコさんが演じておられます。

小麦色の肌に活発な性格、家族を殺されたことによる燃えるような復讐心。
色白でお上品な、前作のボンドガールとは対照的です。
ボンドとは「境遇が同じだし、お互いの敵が同じ陣営だから組むか」というような間柄で、恋には落ちずに良き相棒として共に戦います。

復讐心に燃える2人が、どのように敵を追い詰め、復讐を果たすのか。
クライマックスはその辺に焦点が当てられることとなります。

Untitled

今作は、よくある「復讐は何も生まない」というような綺麗事を抜かすことをしないあたり、好感が持てます。
似たようなセリフはあるのですが、「復讐を全否定するわけではないけれど○○」という雰囲気で、よく練られているなぁ、と感じます。
復讐を追い求めた旅の先にあるラストは、なかなかしみじみとしてよいです。

ちなみに、今作の途中からボンドの担当する復讐が1つ増えます。
そちらの復讐の果たし方が最高に迅速で冷徹で気持ちいいので、必見です。

悪役の魅力はイマイチだが、政治的・時事的なアレコレは良い

Untitled

なんだか雑魚い悪役たち

今作の悪役は、なんだか前作から大幅にパワーダウンしてしまった印象を受けます。
目的もやり口も、時事ネタを反映し、政治的なアレコレを盛り込んだ展開のおかげでリアリティに満ち溢れてはいるのですが、どうにも「ボス感」が無い。

前回の悪役ル・シッフルはやってること自体は小物ながらも、本人が醸し出す迫力はなかなかのものでした。
筋肉バカタイプの親玉ではなく、インテリタイプの親玉として、十二分に悪役オーラを放っていたと感じます。
しかし今回の悪役ドミニク・グリーンおよびナントカ将軍(名前忘れた)は見た目も振る舞いも雑魚っぽく、わざわざボンドが出向いて倒すほどの相手か?と思わざるを得ません。
インテリではあるけど、なんだかスネ夫ちゃん風の弱々しさを感じるというか。
ちょっと、魅力に欠けますね。

リアリティのある背景

先述のように、今作の物語には時事的・政治的な背景が用意されており、物語にリアリティを持たせるのに成功しています。
悪役のグリーンが狙う”資源”は、今後の世界において従来よりも重要な位置を占めるものとして、石油や鉱石といった使い古されたネタよりも新鮮味があります。
その重要度および危険度は、現実と照らし合わせても、わりとシャレになっていません。

また、今回はアメリカの振る舞いが特徴的で、簡単にボンドたちの味方をしてはくれません。
「アメリカの利益になるならば、善悪にはこだわらない」というアメリカの描かれ方はイラク戦争以来の映画の流行りに乗っています(?)
また、とあるアメリカ人が「あんな悪人と組むんですか?」と聞かれて「何処向いても悪人ばかりじゃないか」というような回答をしたり、ボンドの組織内にも裏切り者が紛れ込んでいる様子も描かれます。
これらの描写からは、善悪について単純に割り切れない複雑な世界観を読み取れますし、よりリアリティがあると感じさせられます。

ボンド成長物語の終わり

「カジノ・ロワイヤル」からの一連の事件を乗り越えて、ひとまずジェームズ・ボンドの成長物語は終わりです。
ここまでは視野が狭くてミスを犯したり、本気の恋に落ちたり、詰めの甘さから大事な仲間を亡くしてしまったりと、スパイとして未熟な部分が多く描かれました。
しかし本作のラストシーンは「もうこれからのボンドは大丈夫」と思えるような仕上がりになっています。

そして、そんなボンドを時に厳しく、一方で絶大なる信頼を持って接してきた上司のMとボンドの親子のような関係は、クレイグ版ボンドの中に流れる大きなテーマとなっています。
(これに関して私の感想記事ではロクに書いていませんね何故でしょう)
次回作「007 スカイフォール」は、ボンドとMの関係がさらにクローズアップされたものとなっておりまして、これがまたもう((次回につづく

実は世の中における今作の評価は前作および次回作より低めです。
しかし前作の完結編として、また次回作の前日談として、観ないという選択肢はありませんので、どうぞご覧ください。

キャスト

  • ダニエル・クレイグ

Untitled

前作から続投の6代目ジェームズ・ボンド。
引き続きパワフルなアクションで体を張っておられます。
高そうなスーツを泥まみれにしながら戦う姿は相変わらずカッコイイ。

  • オルガ・キュリレンコ

Untitled

今作のボンドガール。
個人的には色気も演技力もあるとは感じませんが、健康的な肌色が((それぐらいしか褒めるところが無かった

  • マチュー・アマルリック

Untitled

悪役さん。
インテリ起業家っぽさは良く出ています。
イマイチ迫力に欠けるのは彼のせいではなくキャラ設定のせいだと思いたい。

  • ジュディ・デンチ

Untitled

前作より続投。
その迫力はカジノ・ロワイヤルからの悪役がまとめてかかっても勝てないほど。
前作以来、ボンドの良き上司であり続けるMとして、ボンドと絶大な信頼に基づく絆で結ばれていく様子をよく演じてらっしゃいます。


視聴環境
・初回視聴
 ・MOVIX堺

・感想記事執筆にあたっての視聴
 ブルーレイ版、英語音声にて鑑賞。DTS 5.1ch
 ・TV:ソニー BRAVIA KDL-40V5
 ・AVアンプ:ヤマハ AX-V1065
 ・ヘッドフォン:beyerdynamic DT990pro